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「ねえ。金曜日の飲み会のこと、知ってる?」
「あ、…ああ。はい。俺は行きませんけど。」
「どうして?」
「…どうしてって、ちょっと都合が。」
「室井さんが来るのに?」
何なんだ?この言い方は。
「彼女がいようがいまいが関係ないっすけど。」
「そうかしら?ホントは行きたいんじゃない?それとも…、彼女には顔を合わせづらいのかしら?」
何言ってんだ?
「…私、この間の雨の日、駐車場からの通用口で見ちゃったのよね。ホントに偶然だったけど、西島君に声かけようと思ったらあなたと室井さんまでいて、なんだか面白い会話してたから、こっそり聞いちゃった。」
「…え。」
思わず声が漏れた。
「西島君と室井さんが付き合ってるとはね。…がっかりよ。成瀬君、それでいいの?」
俺の答えを待っているのか一呼吸置いたが俺は答えない。
「私は嫌。なんであの子なのよ。西島君には私の方が釣り合ってるし、だいたい室井さんなんてそこそこモテるんだから西島君じゃなくてもいいじゃない。」
「勝野課長だってモテるんじゃないですか。」
「あなたもわかってるんでしょ?私は見た目の派手さからモテるって思われがちだけど、ホントは全然よ。どんな男も私とは一回きり。それで終わりよ。」
それは……なんとなくわかるな。
俺だってこの人は御免だ。
それに西島にこの人の方が釣り合ってるとも思わないが。
俺は黙って聞いていた。
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