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「室井さん!」 会社を出てお店に向かう途中、後ろから声を掛けられた。 振り向くと越石さんだった。 「あ、越石さん。」 「よかった。やっぱり室井さんだ。後ろ姿で、しかもパンツスタイルだから不安だったけど。着替えたんですか?」 「はい。パンツの方がなにかと…。」 今日は細身のジーンズに七分袖の白の透けニット。中には白のインナー。ちょっとカジュアル過ぎるかと思ったけど、若園さんや武田ちゃんと一緒だし、楽な自分でいたいから。 越石さんは会社帰りのそのままのスタイル。でも、男性はいいよね。私も女子ばっかりの飲み会ならそのままだったと思うけど、男性もいるからとりあえずパンツスタイル。スカートだと座り方も気にしてなきゃいけないから。 そんなことを考えていると、ふいに越石さんの声。 「かわいいですね。」 「え?」 「飲み会、参加してラッキーだったな。いつもと違う室井さん見れて得した気分です。」 越石さんは爽やかな笑顔を構えてそんな恥ずかしいことさらっと言っちゃう。 困った私は話を逸らす。 「越石さんと会えて良かった。私、場所初めてでいまいちわからなくて。」 これは本当だった。 「大丈夫ですよ。もうすぐです。」 越石さんの笑顔はそのままだった。
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