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「室井さん、オッケーだったよ!!」
「んじゃ、金曜決定ね。」
「うれしー!!なんか私、緊張しちゃう!」
「なんで女相手に緊張するのよ。」
昼を終えて、事務所に戻ると女子が何やら騒いでいる。
今日は珍しく食堂で食べた。
いつもは外回りのついでに外で食べることが多い。
俺は時間になればすぐに昼食にして、後はゆっくりタバコを吸う。
今日は偶然、食堂を出る時、入ってくる室井 ゆいを見かけた。
あっちは俺には気付いていないが、俺は皮肉にもすぐに彼女を見つけてしまった。
明るい表情で、金曜のことなんてまるで無かったかのようだ。
西島がうまくやったんだろう。
アイツの方が一枚も二枚も上手だ。
タバコ…もう一本行く時間……ないよな。
そんなことを考えていたからか
"室井さん"
彼女の名前を聞いたような気がした。
「あ、成瀬さん!成瀬さんも室井さんと一時期かぶってましたよね?」
「あ?あぁ。それが?」
「今週の金曜日に彼女も含めて営業の何人かで飲み会なんです。成瀬さんもどうですか?」
……彼女と?
「…あ、悪い。ちょっと都合つかなくて。…俺はいいよ。」
「そうですか。じゃ、またの機会に。」
武田はすぐにまた女子の輪に戻り、また盛り上がっている。
俺が行くと言ったら彼女は来ない。
もともとそんな飲み会なんて参加することもないけど。
武田もわかってて、一応声を掛けたまでのことだろう。
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