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この日は来客もなく、仕事はすこぶる順調にはかどった。 今日は早めに帰ろうかな。 こんな風に気持ち的にも余裕なことは滅多にない。 いつも切羽詰まってて、急(セ)いている。 でもそんな心情はお客様には決して見せちゃダメって、自分で決めている。 だからいつもロビーに降りるエレベーターの中で気持ちを切り替えている。事務所に戻る時は時間が惜しくてエレベーターが開いた途端、小走りになったりするけれど。 結局この日は、部長以外のみんなはいつもより早めに帰ることになった。 私は部長のことを気にしつつ、待つわけにもいかずに夕飯のメニューを考えながら帰宅した。 「ただいまー。」 部屋にあがってソファで一息。 何気なく…でも、少し期待して携帯を覗く。 部長からメール… あり。 『今日は俺も早くあがる。ゆいのご飯が食べたい。』 「わーい。」 私は嬉しくてそんなこと言いながらソファに寝そべる。 『お疲れ様です。待ってます。』 送信。 私はお気に入りの部屋着に着替えて二人分の夕飯を準備し始めた。
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