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ピンポーン。
ちょうど夕食が出来上がる頃インターホンが鳴った。
一瞬ドキッとして、でもすぐに顔が緩んでしまう。
私は自分の頬を軽く叩きながら玄関に向かった。
ガチャ。
「お疲れさまでした。」
私が玄関を開けながら言うと、部長は少しだけ顔を曇らせる。
「あ、ああ。」
…どうしたの?
そのまま部長は中に進んでしまう。
「…部長?」
後を追ってリビングに入ると部長が急に振り向いた。
「おかえりなさいがよかった。」
「え?」
「おかえりって言って欲しかった。」
二回目ですけど。
そして、本当の脹れっ面。
部長……かわいいかも。
「…おかえりなさい。」
私は思わず部長に抱きついた。
何も反応が無いので、恐る恐る部長の顔を見上げると、曇った表情はすっかり消えていた。
「…ゆいの作ったご飯も楽しみだけど、おまえが先に欲しくなった。」
そう言って私を抱き上げた。
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