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勝野が今日俺のところに来るだろうことは予想していた。
案の定、彼女はやって来た。
俺は今日でケリをつけたかった。
成瀬が言っていた。
"彼女は見境がなくなっている。"
確かにその通りだ。
これ以上やるなら犯罪にもなりかねない勢いだ。
ゆいを守らなきゃならない。
俺の話に逆上する勝野。
それも彼女の性格を考えれば想定内のことだった。
予想外だったのは、結果的に彼女を黙らせたのはゆいだったということ。
ゆいは勝野の言葉に耐え切れず、立ち上がる。
俺はゆいの言葉を黙って聞いていた。
俺から離れないと。
俺のことを誰よりも好きだと言ってくれた。
こんな状況で、俺は心が震えた。
勝野の存在が見えなくなりそうだった。
ゆいが愛おしくて、すぐにでも抱き締めたかった。
ゆいの言葉に勝野は黙って出て行った。
その後、ゆいの目に浮かんだ涙の意味は俺には全部を理解することは出来ない。
けれど、俺を好きだと言ってくれた気持ちは本物だったに違いない。
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