罠 #2

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彼女を乗せて西島の車は去って行った。 「さてと。帰るか。」 車に乗り込み、運転席から体を伸ばして助手席のシートを起こそうとする。 シートに残る彼女の甘い匂いが仄かに香る。 こんな近くにいたなんて。 今まで俺が彼女にしてきたことで、彼女はこの先も俺に怯え、俺を許さないかもしれない。 でもそれは俺の罪と罰だ。 俺は今日の自分の行動に何一つ後悔していない。 最後に彼女を守れたことがせめてもの救いだ。 俺はもう彼女を追わない。 西島とも初めて男同士の会話が出来たような気がした。 西島を認めたことで、ああなりたいという具体的な目標が出来たような気がする。 実はずっと前から、西島のようになりたいと思っていたに違いない。 仕事や人間関係、もうちょっと本気でやってみるかな。 俺はエンジンをかけると、エアコンを切り、窓を全開にした。 走り出すと、強い風が車の中に入り込む。 彼女の匂いを消し去り、俺の心まで吹き抜けていくような強い風は何だか心地よく、俺は清々しい気持ちに満ちていた。
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