罠 #2

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俺が抱き上げた時、寝ぼけたようにうっすら目を開け、 「ただいま。」と言ったゆい。 俺は心の底からの 「おかえり。」を言った。 成瀬の車に駆け寄った時、安堵で思わず膝が崩れそうになっていた。 …今日はいつもの何倍も疲れた気がする。 ゆいは泊まりの準備まではしてきていない。俺もゆいの家に送ろうと思っていた。俺がゆいのとこに泊まろうかと。 だけど俺は自分の家に連れて帰りたくなった。 ゆいを抱き締めたかった。 自分の女として実感が欲しかった。 マンションについて駐車場から部屋までゆいを抱いて運ぶ。 途中、ゆいが起きて 「お迎え、ありがとうございます。…遅くなっちゃいましたか?…ごめんなさい。」 と本当に俺が直接迎えに行ったつもりでいる。 「大丈夫だ。家に着いたぞ。」 俺はそのまま家に入り、ソファにゆっくりゆいを下ろした。 水を飲ましたりしていると、だんだんとゆいの目が覚めてくる。 「大丈夫か?だいぶ飲んだのか?」 「…一杯だけなんですけど。ブランデー入りだったみたいで…。…急遽、勝野課長が来ることになって、勝野課長の強引さからは逃げられませんでした。」 その後、勝野とのやり取りをゆいが話してくれた。 成瀬の言っていた通り、始めからゆいを狙っていたようだ。 「ゆい。遅いが一緒に風呂に入ろう。すぐに沸くから。」 「…一緒に?」 酔いがまだ抜けきらないせいかいつもの大げさなリアクションではなくトロンとしている。 「そうだ。俺も少し疲れた。ゆいと入りたい。」 「…大丈夫ですか?…じゃあ、わかりました。」 酒のおかげか、ゆいはすんなり承諾してくれた。 成瀬の車にいたせいか、ゆいにはわずかに煙草の匂いが残っていた。 煙草であろうと何であろうと他の男の匂いがゆいにまとわりついたままなのは嫌だった。 風呂に入って全て洗い流してやる。 真っさらになって俺に抱かれて欲しい。 俺は風呂が沸くのをただゆいを抱き締めて待っていた。
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