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ゆいは勝野に関しては不信を抱くばかりだったが、成瀬には別の反応だった。
「…じゃあ、成瀬さんが来てくれたから私、無事だったってことですか?」
そう言いながら顔が青ざめていく。
俺はそんなゆいを引き寄せ肩を撫でる。
「大丈夫だ。これからもちゃんと守ってやる。」
「…でも、成瀬さん、私を助けてくれたんだ…。成瀬さんてホントによくわからない人だけど、根は悪い人には思えなかったから。」
「…なんでだ?」
「…あの雨の日、ずぶ濡れの私を見て一瞬だけ本当に心配そうな顔したんです。でも、あの後あんなこと言うからまた、よくわからなくって。」
…そうだったのか。
…アイツ、やっぱりゆいのこと本気だったんだな。
「今度会ったら、お礼言ってもいいですか?」
「ああ。ゆいがそうしたいならそうしろ。」
もう、ゆいにとって成瀬は危険じゃない。
アイツはきっとこれから変わるだろう。
危ないのは……勝野だ。
彼女をどうするか。
それはそうと、ゆいを危険な目に遭わせた礼はたっぷりさせてもらう。
俺たちはこの話はこれで終え、それからは二人の休日を楽しむことにした。
ゆいが一通り洗濯などの家事を済ませてくれた後、一度ゆいのアパートに戻ることにして、お昼はゆいのとこで食べることになった。
途中、買い物といつものDVD のレンタルショップに寄ってからゆいの部屋に向かう。
アパートに着くとゆいは、着替え、洗濯、メイクをてきぱきと終えて昼食を作り始める。
少し遅い昼食を終えると、それからはのんびり過ごした。
ゆいとの時間はあっという間に過ぎる。
夕飯はどこかに食べに行こうと話していた時、ゆいの携帯が鳴った。
携帯を確認しながら
「あ、美咲だ。…藤森さんです。」
俺に一言言うと、ゆいは電話を受けた。
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