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「もしもし?」
『ゆいーー!私、貴之と別れたぁーー!あいつ、許せない!!もう、許せないんだよぉ…。もう、悔しいよぉ……。』
「み、美咲!?別れたって!?どうしたのっ!?」
第一声で、怒り爆発といった美咲だったけど、後になると、涙ぐんでいるのかふにゃふにゃになってしまった。
美咲には滅多にないことだ。
しかも、あんなにラブラブだったのに、別れたって……?
『ゆい、会いたいよ。慰めてよ。グヒッ。美味しいものガーッと食べて、あんな奴、きれいさっぱり忘れてやる!!!グヒッ。』
「わかったから。夕飯一緒に食べよ。…今は部長といるんだけど…。」
『あー!!それなら、部長のおごり決定!!もー値段関係なしに食べてやる!!じゃ、よろしく!!』
ツーツーツーツーツー。
こんな時にもいつものパターン。
切れました。
私が部長に説明しようとすると、
「全部聞こえた。」
確かに、大音量でした。
「じゃ、迎えにいくか。」
部長と私は美咲のアパートに向かった。
美咲のアパートはここからそんなに離れていない。
美咲を迎えて車に乗せる。
美咲が乗ってから私も後部座席に移った。
「飯は"美月"でいいか?」
「もう、部長にお任せます。私、今日財布持ってきてませんから。よろしくお願いします。」
そんな冗談交じりのことを言う美咲の顔は、しっかりしているようでもやっぱり目が充血している。
「…美咲、…大丈夫?」
「大丈夫よ!!あんなヤツ!今もアイツの荷物、片っぱしからゴミ袋に詰めてたとこ!!」
私が知っている頃の美咲と彼氏の貴之くんは本当に仲が良くて、ほとんど同棲同然の暮らしだった。
「アイツさ、最近あんまり帰って来ないと思ってたらさ、浮気だよ!!浮気!さいってー!!」
「…え、…ホントなの?」
「マジよ!マジ!信じらんないよ!!」
美咲の話がヒートアップする中、もう美月に着いてしまった。
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