罠 #2

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「もしもし?」 『ゆいーー!私、貴之と別れたぁーー!あいつ、許せない!!もう、許せないんだよぉ…。もう、悔しいよぉ……。』 「み、美咲!?別れたって!?どうしたのっ!?」 第一声で、怒り爆発といった美咲だったけど、後になると、涙ぐんでいるのかふにゃふにゃになってしまった。 美咲には滅多にないことだ。 しかも、あんなにラブラブだったのに、別れたって……? 『ゆい、会いたいよ。慰めてよ。グヒッ。美味しいものガーッと食べて、あんな奴、きれいさっぱり忘れてやる!!!グヒッ。』 「わかったから。夕飯一緒に食べよ。…今は部長といるんだけど…。」 『あー!!それなら、部長のおごり決定!!もー値段関係なしに食べてやる!!じゃ、よろしく!!』 ツーツーツーツーツー。 こんな時にもいつものパターン。 切れました。 私が部長に説明しようとすると、 「全部聞こえた。」 確かに、大音量でした。 「じゃ、迎えにいくか。」 部長と私は美咲のアパートに向かった。 美咲のアパートはここからそんなに離れていない。 美咲を迎えて車に乗せる。 美咲が乗ってから私も後部座席に移った。 「飯は"美月"でいいか?」 「もう、部長にお任せます。私、今日財布持ってきてませんから。よろしくお願いします。」 そんな冗談交じりのことを言う美咲の顔は、しっかりしているようでもやっぱり目が充血している。 「…美咲、…大丈夫?」 「大丈夫よ!!あんなヤツ!今もアイツの荷物、片っぱしからゴミ袋に詰めてたとこ!!」 私が知っている頃の美咲と彼氏の貴之くんは本当に仲が良くて、ほとんど同棲同然の暮らしだった。 「アイツさ、最近あんまり帰って来ないと思ってたらさ、浮気だよ!!浮気!さいってー!!」 「…え、…ホントなの?」 「マジよ!マジ!信じらんないよ!!」 美咲の話がヒートアップする中、もう美月に着いてしまった。
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