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それからは美咲の独壇場だった。
ビールも頼んだ美咲はさらに饒舌になっている。
「一番最初に怪しかったのは、あの日よ。ゆいが熱出して私と部長がゆいのとこに行った日。あの日、ゆいから連絡が来るまで一緒にいたのに、帰ったらいなかったの!私がゆいのとこに泊まると思って出掛けたのね。女のところに!!」
「えぇー!あの日!?」
なぜかすごく罪悪感を感じて、思わず謝ってしまう。
「ごめんね。私が呼んだから。」
「そんなの関係ないよ!きっとそれより前からだったんだろうし!あの時じゃなくてもいずれ、そうなったかも。ってか、そもそもあの熱はゆいを精神的にも追いこんでた成瀬さんのせいじゃない?うん。アイツのせいだー!!私がこうなったのもアイツのせいだー!出てこい成瀬!ゆいの分まで滅多打ちにしてやる!!」
お酒と別れたショックでか、美咲の言ってることは支離滅裂。成瀬さんにまで飛び火してしまった。
あぁ…、お座敷にして良かった。
閉まった襖をみてそう思った時、その襖が静かに開いた。
「失礼します。秀一、こちら。」
と、美月さんが私たちのお座敷に促した人は。
え。
…成瀬さん!?
昨日の今日で、頭が急に混乱する。
「…え?あの…。」
しか出てこない私に代わり、
「…成瀬?」
部長も相当驚いてる。
「おまえ…、なんでここに?」
「…メチャクチャな偶然です。」
成瀬さんも困った表情。
「成瀬さん、たまに来てくれてるのよ。前にお聞きして秀一と同じ会社だし、今、来て下さったの。そしたらここから成瀬さんのお名前が聞こえたから。」
「あーー!!成瀬!!あれ?ホントに出てきた。なんで?まあ、いいわ。あんたねぇ!!」
部長と私で何とか美咲を抑えて、部長が成瀬さんを座敷に呼ぶ。
「入れよ。」
私の隣が美咲。私の向かいが部長、その隣が成瀬さん。
突然に、このメンバー。
私はまだ混乱してます。
でも、そんな私に思いがけず成瀬さんの方から話かけてきた。
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