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「今までのことは本当にすまないと思ってる。ごめん。許してくれとは言わないけど、もうあんなことはしないから俺のこと、怖がらないで欲しい。」
それだけだった。
でも、今までの成瀬さんとは別人のように見えた。
当然、目の前の成瀬さんを怖いとは思わなかった。
私もちゃんと言わなきゃ。
「…わかりました。今の成瀬さんを信用しますし、その…、…あの。昨日はありがとうございました。ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。」
私の言葉に成瀬さんは目を見開いて、部長を見た。
「昨日のこと、言ったんすか?」
「ああ。言われて困るようなことじゃないだろ?俺も迷ったが、言って良かったと思ってる。」
そして、また私に顔を戻す。
ぎこちないかもしれないけど、今度は成瀬さんに笑うことが出来た。
それにまた成瀬さんがビックリしてるけど。
でも。
もっと驚いたのは今まで蚊帳の外で話を聞いていた美咲さん。
「ねえ。ちょっと。何これ?どうなってんの?え?部長もゆいも。なんで、こんなに和やかになっちゃってんの?ねえってば。」
ああ。これは説明するの長いし、難しいの。
私が悩んでいると、成瀬さんが美咲に話しかける。
「ところで、何が俺のせいなの?」
「だーかーら!私、別れたの!彼氏と!それ!!」
「はぁ!?意味わかんねーし。」
「意味、わからなくて当然です。ごめんなさい。成瀬さん。」
美咲の代わりに私が謝る。
部長がわかる範囲で成瀬さんに事情を説明する。
「はあ?それって浮気される側にも問題あんじゃねえの?それがなんで俺のせいなわけ?」
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