罠 #2

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「今までのことは本当にすまないと思ってる。ごめん。許してくれとは言わないけど、もうあんなことはしないから俺のこと、怖がらないで欲しい。」 それだけだった。 でも、今までの成瀬さんとは別人のように見えた。 当然、目の前の成瀬さんを怖いとは思わなかった。 私もちゃんと言わなきゃ。 「…わかりました。今の成瀬さんを信用しますし、その…、…あの。昨日はありがとうございました。ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。」 私の言葉に成瀬さんは目を見開いて、部長を見た。 「昨日のこと、言ったんすか?」 「ああ。言われて困るようなことじゃないだろ?俺も迷ったが、言って良かったと思ってる。」 そして、また私に顔を戻す。 ぎこちないかもしれないけど、今度は成瀬さんに笑うことが出来た。 それにまた成瀬さんがビックリしてるけど。 でも。 もっと驚いたのは今まで蚊帳の外で話を聞いていた美咲さん。 「ねえ。ちょっと。何これ?どうなってんの?え?部長もゆいも。なんで、こんなに和やかになっちゃってんの?ねえってば。」 ああ。これは説明するの長いし、難しいの。 私が悩んでいると、成瀬さんが美咲に話しかける。 「ところで、何が俺のせいなの?」 「だーかーら!私、別れたの!彼氏と!それ!!」 「はぁ!?意味わかんねーし。」 「意味、わからなくて当然です。ごめんなさい。成瀬さん。」 美咲の代わりに私が謝る。 部長がわかる範囲で成瀬さんに事情を説明する。 「はあ?それって浮気される側にも問題あんじゃねえの?それがなんで俺のせいなわけ?」
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