2539人が本棚に入れています
本棚に追加
「成瀬さん!言いすぎです!」
ゆいが反論してくれたけど、当の私は何も言えなかった。
「…わかってる。…ごめんなさい。本当は…誰のせいでもない。はは。ホント、やっぱそうだよね。」
涙が滲む。
「なんだよ。…急に…。」
成瀬さんが慌てる中、ゆいが私にに寄り添うと部長が言った。
「別に藤森のせいじゃないさ。浮気をするような男は始めから本気で人を好きになったりしない。お前と別れて別の女と付き合ってもまた同じことを繰り返すだけだ。おまえが悪かったわけじゃない。ただ、もう少し男を見る目を変えろ。いい男をちゃんと選べ。」
部長の言葉はなぜか説得力があって、私は無意識に「はい。」と小さく答えていた。
その後、私は何かが吹っ切れたような気がしてちゃんと笑えて、みんなも笑ってくれて、この異質なメンバーの食事も最後にはいい雰囲気に終わった。
部長に送ってもらい、今日はゆいの家に泊まることになった。ゆいも部長も全く相談も無しに、私がゆいのとこに泊まることが前提みたいになってて…そんな二人の優しさが身に染みて。
そんなことが自然に出来る二人が羨ましかった。
久しぶりのゆいとの女同士の夜。私の辛い出来事も、ゆいの幸せな出来事も何の遠慮もなく二人で話して、夜を明かした。
女友達はこれだから最高だよね。
私はこの夜、本当にみんなに感謝の気持ちでいっぱいだった。
成瀬さんにはかなり失礼なこと言っちゃったけど、彼からも遠慮のない誰も言わないようなこと言われて、それがかえって吹っ切るきっかけになったのかもしれない。
惰性で付き合ってたのかもしれない。そう思うと本気で相手を好きだったのかさえあやふやに思えてくる。
でも、もういいんだ。
終わったんだから。
今日のみんなに囲まれて、
今、ゆいと居られて、
私はなんだか幸せなんだもん。
最初のコメントを投稿しよう!