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俺が店に電話を掛けるとしばらくして、勝野課長が本当に彼女を連れてやってきた。
彼女は意識があるのかないのかわからないほど酔っていた。
……マジかよ。
勝野という女が恐ろしかった。
俺は行こうか行くまいか、ギリギリまで悩んでいた。
でも、あの勝野課長の不敵な笑みを思い出すと、俺が行かない場合、彼女は確実に代わりの男を呼ぶだろう。
そう思うと迷ってる暇はなかった。
案の定、来てみると勝野課長の言った通りになっている。
…有言実行。
恐ろしい女。
彼女は倒れたシートで横になり、俺に顔を向けて目を閉じている。
火照ってピンクに染まった顔に下がった眉毛。
そんな彼女はいつもよりだいぶ幼く見えた。
けれど、一方で目を閉じたことで際立つ長い睫毛と、少し開いた形のいい唇が色っぽく見え、思わず見とれる。
彼女が車に乗ってから車の中が暑い。
彼女の体温のせいか。
俺の体温か。
俺はエアコンを強めて、車を出した。
ここは路駐だ。
行くあてはないが、とにかく車を停められる場所へ行こうと思った。
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