罠 #2

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勝野課長が出て行った後、私の中には何か込み上げてくるものがあった。 部長が私を二年以上も想ってくれてたこと。 恋愛は全ての人の願いは叶わないこと。 女性としての勝野課長の想い。 でも、やっぱり、私は部長が好きで、誰にも渡せない。 いろんな思いが私の視界を滲ませた。 崩れるように椅子に座りこむ。 部長が側までやってきて、私の頭に優しく手を乗せる。 「今日はもう帰ろう。」 私は頷いて帰りの支度をする。 エレベーターの前で待っていた部長と一緒に駐車場に降り、部長の車に乗って会社を出る。 会社の前の道路に出ると、部長がすぐに車を路肩に寄せる。 ハザードを灯した車内で部長は私を引き寄せる。 優しいキスだった。 私はまた涙が出てきてしまって、部長の指がそれを拭う。 こんなにも部長が好き。 どうか部長もそうであって欲しい。 「俺たち、ちゃんと両想いだな。」 顔を離した部長が笑って言う。 "両想い" 何だか幼いその言葉は、すごくくすぐったくって、でも今の私たちにはぴったりだった。 「はい。両想いです。」 部長がまたキスをくれる。 今度は甘くて熱いキスだった。
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