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俺はゆいに帰り仕度を促し、車に乗せて出発した。
慌てるように会社という枠を飛び出して、すぐに車を停める。
驚くゆいをよそに強く引き寄せてキスをする。
まるで、買ってもらったおもちゃを家まで我慢できない子供みたいだった。
ゆいはまた涙を流し、それを俺がきれいに拭ってやる。
「俺たち、ちゃんと両想いだな。」
"両想い"
そんな子供じみた言葉が口から出て、自分でも驚いたが、今の俺たちにはしっくり来る気がした。
ゆいにも伝わったんだろうか。
潤んだ瞳で優しく笑うゆい。
「はい。両想いです。」
俺は再びキスをした。
さっきよりも熱いキスを。
車の中ではハザードの小さな点滅音だけが二人の鼓動のように聞こえていた。
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