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「なんだ。騒がしい。失礼しますくらい言えないのか?」
「今、昼休みっしょ。そんなことより、今度のK社との取引の件、森田部長に聞きましたよ。俺をリーダーにすること、西島部長と決めたって!」
「決めたのは森田だ。俺はいいんじゃないかと言っただけだ。」
「だから、何でっ!?」
「お前で無理なら森田には止めろと言ったまでだ。」
「…そんな。…俺、無理っすよ。」
「なら、止めるか?」
「…え?」
「お前がどう思うかは知らないが、俺はチャンスだと思うがな。」
「…俺だって…。自分を試したい気持ちはあります。…ただ…山がでか過ぎる。…もし、契約取れなかったら……。」
「誰もお前に失敗するなとは言わない。ただ、やるなら全力でやれ。出来ないなら最初から手を出すな。…良かったじゃないか、優しい上司がいて。責任は森田が負う覚悟だ。お前を勧めた俺にもとばっちりがくるかもな。」
部長はそう言って笑った。
それを見てしばらく考え込むように黙っていた成瀬さんがニヤリと笑った。
「全力でやってやりますよ。どうなっても知りませんけど。」
その顔には決意が込められているような気がした。
成瀬さんが事務所を出て行こうとすると、池口さんが声を掛けた。
「頑張れよ!成瀬。」
「頑張ってください。」
私も陰ながら気持ちだけは応援したいと思って言葉が続いた。
「ありがと。」
成瀬さんのプレッシャーは相当なものだと思う。
だけど頑張って欲しい。
森田部長もいる。
部長もいる。
チームのみんなも。
営業のみんなも。
応援してる私たちも。
みんながいるから。
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