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プレゼントを受け取って、ゆかりさんのブティックに予定の時間通りに到着した。
「こんにちは、ゆいちゃん。待ってたわよ。」
今日も派手なゆかりさんは優しく私を迎えてくれた。
ゆかりさんの指示の通りにドレスを纏い、アクセサリーを着けてもらう。クラッチバックに小物を移して、最後にパンプスに足を滑らせる。
思ったよりヒールが高くてふらついてしまう。
「すごく素敵よ。さ、上に上がってくれる?これからもっと綺麗にしてあげるからね。」
私はふらついた足取りでゆかりさんについて、二階にあがる。
「はじめまして。」
ヘアメイクをしてくれるというのは長嶋さんという男性だった。
「へえ。ホントにかわいいね。やりがいあるな。ゆかりママ任せて。」
私は促されるまま椅子に座り、後は出来上がるまで全てがお任せだった。
「できたよ。」
そう言われて、鏡を覗く。
わあ、素敵。
自分に何を言っているのやらとは思うけど、自分じゃないみたいなんだもん。
髪は私好みの今にも崩れそうな緩めのアップ。メイクは決して濃いわけじゃないけど、大人っぽく仕上がっている。
「メイクも髪型もあまり派手にならないようにしたよ。君には柔らかいイメージが似合うからね。でも、ルージュは赤めに色っぽくね。はい、これ。ゆかりママからのプレゼントだよ。」
長嶋さんはそう言ってルージュを一つ私の手に渡してくれた。
ゆかりさんが?
私はもう一度鏡を見てから長嶋さんにお礼を言って、支払いをしようとする。
「あ、もう頂いてるから。それにしても、彼氏の気持ち考えると複雑かな。」
「え?」
「彼氏だってもちろん喜ぶと思うけど、これじゃ、他の男の目も十分惹いちゃうよ。彼氏のご機嫌、損ねないようにね。」
私はその忠告にハテナ?と思いながらも、ゆかりさんが呼んでくれたタクシーに乗った。
「ゆかりさん。素敵なルージュ、ありがとうございました。」
「秀ちゃん、きっとビックリするわよ!また、話聞かせてね。」
ゆかりさんは動き出したタクシーに大きく手を振って送り出してくれた。
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