華と花

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「原田社長に挨拶が済みましたので、私たちはあちらで料理を楽しませて頂きます。」 部長が私の腰に手を掛け、体の向きを変えようとすると、 「さっきの話、本気だから。」 原田専務の声が引き留めた。 「…それは、難しいお話ですね。それに、原田専務のような方は、相手に困っていないでしょう?室井でなくても、お似合いの方がいくらでもいますよ。」 「君はどうなの?俺とのこと。可能性が全くないってハッキリ言える?…それとも、もう決まった相手でもいるの?」 …どうしよう。 …なんて答えればいいの? どう答えたら失礼じゃないんだ ろう。 「…原田専務には私のような者は不釣り合いですし、西島の言うように、私でなくてもお似合いの方がたくさんいらっしゃると思います。」 「…上手くはぐらかされた感じだな。それって…」 「失礼します。…行こう。」 部長が私を連れて、半ば強引に原田専務から離れた。
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