悪い虫

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この日はホテルを出て、そのままゆかりさんのブティックに行き、預けてあった洋服と引き換えに衣装の一式を返す。 「ルージュ、役に立った?」 ゆかりさんはにんまりと笑顔をつくる。 …やっぱり。 ……計算だ。 「はい。ありがとうございました。」 ここは素直にお礼を言った。 すると、 「もう!秀ちゃんてば!!」 と、部長の背中をバシバシとかなり強めに叩いていました。 部長とゆかりさんは一年以上会ってなかったみたいだけど、とてもそんな風には見えなくて思わず笑ってしまった。 部長もゆかりさんには全く敵わなかったみたいで、逃げるようにブティックを出た。 それから遅目のランチを済ませて、ブラブラしてからまだお店の準備中だった美月に顔を出す。 「あら。いらっしゃい。」 美月さんは準備中なので洋服にエプロン姿。 「どうだった?秀一、驚いたでしょ?」 「ああ。いろんな意味でビックリしたよ。けど、ゆいは綺麗だった。」 「いろんな意味って?パーティーで何かあったの?」 「いえ。美月さん。なんでもないんです。」 「あ。もしかして、あの姿のゆいちゃんに他の男性が群がっちゃったとか?それで秀一が気に入らなくてへそ曲げた?」 …な。 美月さんの推察力。 …スゴすぎます。 ほぼ的中?
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