悪い虫

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原田専務の目つきが変わって、それがすごく怖かった。 どうしていいのかわからなかった。 今は役員専用の特別応接室は使用中。一般用のどちらかは空いてるはず。 「申し訳ありません。今、確認して参ります。」 私は受付に行き、美咲に応接室の使用状況を聞いた。 第二応接室が空いていた。 「ゆい、あの人何なの?大丈夫?」 「…ごめん。また話すから。ね、西島部長に連絡取ってくれない?出来れば急いで来て欲しいの。」 美咲に部長との連絡をお願いして、原田専務のところに戻る。 半分パニックでどんな対応が正しいのか、よくわからなくなっていた。 「…応接室にご案内します。」 原田専務が立ち上がり、私の後に続く。 受付の前で一度美咲の顔を見ると、その表情でまだ部長と連絡が取れていないのだとわかった。 …応接室に行ったって、それからどうしよう? けれど、帰そうとすると会社の対応の評価を口にする。 …本当にどうしていいかわからない。 とにかく、部長の指示が欲しい。 部長、早く来て……。 私は専務を部屋にお通しした。 専務はゆったりとソファに掛ける。 「そうそう。これこれ。」 パニックになりながらもとにかく、部長が来てくれるまではなるべく彼から離れていようと思った。 「コーヒーをお持ちしますので少しお待ちください。」 私がソファの脇で一礼して行こうとすると、 「コーヒーはいいよ。君が欲しい。」 原田専務が私の腕に手を掛けた。
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