悪い虫

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私は第二応接室のドアの前で緊張していた。 間違ったら、すごい失礼。 責任問題かも。 でも、躊躇してる暇はない。 私は聞こえないだろう気持ち程度のノックをしてドアを開けた。 目に飛び込んだのは最悪の光景。 「ゆいっ!!」 「あんたっ!!何してんのよ!?ゆいから離れて!!」 「…み、美咲!」 信じらんない! なんでこんなことになるのよ!? 私はソファに駆け寄った。 「君、なんなの?メチャクチャ失礼じゃない?」 「はあ!?失礼って、あんたに言われたくないわよ!!」 必死でゆいを引っ張って、変態からゆいを引き離す。 「ゆい、大丈夫?今、部長来てくれるから。しっかりして!」 ゆいが私にしがみつく。 「君、そのカッコ、…あ、さっきの受付じゃん。俺のこと誰だか知っててなんなのその態度?」 「はあ!?私が知ってるのはアンタが変態ってことよ!会社で何やってんのよ!信じらんない!サイテー!!」 ゆいを見ればパンプスは脱げてるし、服ははだけてよれよれ、ストッキングは伝線してるし、髪はボサボサ。 「早く帰ってよ!!いつまでもゆいの前にいないで!」 「なんだよ。邪魔が入ったから帰るよ。言われなくても。うるさい女だな。」 その時、背後から声が響いた。 「このまま、帰す訳にはいかない。」 入り口からこっちに向かう部長だった。 息を切らして、肩が揺れてる。 でも、きっと。 握られた拳は怒りで震えてるに違いないと思った。
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