誕生日の宣戦布告

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私はドキドキしながら玄関に向かう。 「はーい。」 と返事をしながらドアを開けたと同時に涼太が私の足に絡みつく。 「涼太!おはよう!」 足元から涼太を抱き上げる。 涼太は手に持った小さなおもちゃを私に見せながら、言葉にならない涼太なりの言葉で私に話してくれる。 「ゆいに見せてくれるの?うれしい!今日は一緒にいい子にしてようね。」 「フフ。その分だと全く心配なさそうね。なんか、逆に寂しいわ。でも、良かった。これ、簡単なメモと荷物。食事だけ面倒かもしれないけどごめんね。」 「美穂さんは何も気にしないで、デート、楽しんで来て下さい!」 その時、私の背後から部長の声が通った。 「初めまして。西島と申します。」 「あ、ああ!ゆいちゃんの!初めまして。義理の姉で美穂と言います。ゆいちゃんがお世話になってます。あ、下の車に主人がいますけど、呼びましょうね。」 「いえ、自分が下りますから結構です。挨拶だけさせて頂いてきます。」 そう言って、部長は一人玄関から出て行った。 「あ、…秀一さん。」 何となく呼び止めたけど部長はそのまま行ってしまった。 「大丈夫よ。それより、超イケメンじゃないの!!ゆいちゃんやるー!心配しないで、後で隆の感想聞いておくから。」 「…お願いします。」 ああ、なんかすごく恥ずかしい。 彼氏を紹介するって初めてで。 「じゃ、ゆいちゃん、涼太のこと、よろしくね!涼太!ゆいちゃんの言うことちゃんと聞くのよ!」 美穂さんはそう言って涼太にキスをした。
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