誕生日の宣戦布告

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翌日土曜日。 部長は今日、昼間は接待ゴルフ。夕方からは別件での接待で夕飯も一緒に食べられない。 美容院の予約が午前中なので、それが終わったら部長の家で掃除や洗濯をしようと思っていた。 美容院では、カラー、パーマ、カットのフルコース。 いつもならうんざりする待ち時間も部長に可愛く見られたいと思うだけで、少しも苦痛じゃなかった。 渡されたファッション雑誌の恋愛トークのページで顔がにやけ過ぎていないか心配になった。 仕上がりはカットと言っても毛先を揃えただけだし、パーマもいつもと変わらない軽いふんわりとしたもの。 そう変わったようには見えないかもしれないけど、私は満足していた。 美容院を出て、その足で部長のマンションに向かった。 もう何度となく使う合鍵で中に入り、手慣れた用に洗濯と掃除を始める。 手慣れたと言っても、心ん中はドキドキしちゃってるんだけど。 洗濯は乾燥機にかけた。 仕上がった部長の衣類を畳みながら、また部長の匂いを感じたくなる。 シャツやハンカチにアイロンを掛け、丁寧に仕舞うと、一息つこうと紅茶を入れてソファに座った。 そして、ふと、思いついて、部長に手紙を書いていくことにした。 帰って来た時に喜んでくれたらいいな。 夕飯は済ましてくるから、冷たいお茶だけ作ってから部長の部屋を後にした。
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