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…え?
…何で?
…どうしてここに、ヨウちゃんが?
「やあ、ゆい。誕生日おめでとう。」
ヨウちゃんはにっこり笑って、私に大きな花束をくれた。
ピンクのバラの大きな花束。
私は少し放心気味でお礼を言うのも忘れてる。
だって、もうすぐ部長が迎えに来るのに。
「ゆいによく似合ってるよ。」
私の気持ちとヨウちゃんの笑顔がかみ合わない。
「…あ、ありがとう。でも、…ヨウちゃん…どうしてここに?」
「あ、おばさんに住所聞いたんだ。どうしてもゆいに直接渡したくて。」
「…誕生日、覚えててくれたんだ。…わざわざありがとう。ヨウちゃん…、私…、これから…。」
「ね、上がってもいい?」
私の言葉を遮ったヨウちゃんは、もうすでに靴を脱ぎ始めている。
部長以外の男性を上げるのには少し抵抗がある。
すると、そんな私の心を見透かしたように
「ゆいと僕、家族みたいなもんでしょ?」
ヨウちゃんはそう言って、私の返事を待たずに中に入って行った。
…そう?
…そっか。
家族みたいなもの?
ヨウちゃん、私のことそう思ってるんだ。
私だけが意識してたみたい。
ヨウちゃんは私を女とは思っていない。
妹…みたいなものかな?
ああ、でも、もうすぐ部長が来るの。
こんな状況、あの部長が許してくれるわけがない。
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