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玄関が閉まるのを音で確認して、ゆいを見ればすでに泣き出しそうな顔だ。
「ゆい。」
「…ご…ごめんなさい。…ヨウちゃんが来るなんて…思ってなくて。ヨウちゃんが私のこと…、…家族みたいな存在だって言うから…、でも…、勝手に上がっちゃうし…、あんなこと言うなんて……。」
言いながら、目には今にも溢れんばかりに涙を溜めている。
「ゆい。落ち着け。わかってる。大丈夫だ。俺は何とも思ってない。顔を上げろ。可愛い顔が台無しだ。」
手でゆいの顔を支えながら、ついに溢れてしまった涙を指で拭う。
ゆいはゆっくり俺と目を合わす。
「さあ、出掛けよう。お腹、空いただろ?」
俺の笑顔に半分は驚きながら、それでも安心したのかゆいも俺に笑い返した。
ゆいが化粧直しをした後で、食事に出掛ける。
誕生日のやり直しだ。
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