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彩りのいいお料理はサラダにスープ、パスタだった。
気取らずに食べられるこのメニューが嬉しかった。
お店を予約してあるって聞いて、ホントは少し緊張してたから。
「いただきます!」
「秀一さん、このドレッシング初めての味です!」
「見て下さい!このパスタ、こんなの入ってる!」
「スープも美味しー!お家でもこんなの作れたらいいのに!」
一口始めると、感動することは山ほどあった。
「ゆいと食べると何でも美味しく感じる。」
「え?だって、これ、本当に美味しいですもん。」
「味は確かにな。でも、食事を楽しめるかどうかだ。ゆいとならコーヒー一杯でも楽しい。」
「…そ、そうですか?」
「ああ。そろそろデザートをもらおう。」
部長はそう言って、金井さんに合図した。
すると、金井さんは他のウェイターさんにそれを頼み、自分はさっきの女性に代わってピアノの席に着いた。
そして、流れる優しい音色。
…え。
…これって。
穏やかなメロディーなのに心臓がドキドキと跳ね始める。
その音楽はゆっくりとしたメロディにアレンジされたハッピーバースデーのあの定番曲。
ゆっくりと部長を見る。
「ゆい。誕生日おめでとう。」
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