誕生日の宣戦布告

6/35
前へ
/35ページ
次へ
週の始めからこんなことがあったけど、それは悪いようにことが運んだわけではなく、戸田社長が一つの区切りを付けてくれたことで、私は心から安心して働くことが出来るようになっていた。 社長という存在の大きさに驚き、同時に心から尊敬した。 こんなことが実感できるのは、社長に直に接することができる、この立場だからなんだと思うと自分の仕事にもさらにやりがいを持つことが出来た。 一週間というのは本当に早い。 今日はもう金曜日。 今週は第二週になるので、来週は第三週。 7月の第三週の月曜日と言えば海の日。 そして今年は私の誕生日がちょうど海の日に当たっていて、祝日のために会社もお休み。 部長の都合がよければ一日一緒に過ごせるかもしれないと期待していた。 でも、実は部長にはまだ私の誕生日を告げていない。 誕生日だからこうして欲しいとか、これが欲しいってものもないし、ただ、部長と一緒に過ごせればいいなと思っていたから。 私はこの歳になっても去年までは誕生日に近い休日を利用して実家でお祝いしてもらってたので、部長と過ごせるという確証はなかったけど、昨日の内に母に断りを入れていた。 母は部長の存在があるので、大喜びだったけど、電話の最後に 「でも、お父さんが寂しがるわね。」 と、笑いながら付け加えた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2390人が本棚に入れています
本棚に追加