誕生日の宣戦布告

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そして、部長の予定を早く確認したくてたまらなく迎えた金曜日。 定時後。 休憩時間にたまたま事務所に部長と二人きりになった。 私はまるで祈るような気持ちで部長に切り出す。 「部長。…月曜の祝日なんですけど…、…会えますか?」 私の言葉に部長が一瞬笑ったように見えたのは気のせいだったのかな? 「ああ。それが、一日大丈夫だと思っていたんだが、社長に頼まれて一件接待が入ったんだ。またゴルフだ。夕飯は一緒に食べられるが、それでもいいか?」 「はい!大丈夫です。」 「じゃあ、迎えに行くから外で食べよう。」 「はい!待ってます。」 やった!! と思ったところで、池口さんと琴ちゃんがそれぞれ事務所に入って来た。 これから残業突入だというのに私のこのテンションの上がりようは変に思われてしまうかもしれない。 案の定、 「あれ、ゆい先輩なんか嬉しそうですね?」 なんて言われてしまって、 「あ、今日の夜、何食べようかって考えてたら楽しみになっちゃって。」 そんなごまかし方だったけど琴ちゃんも池口さんも笑って 「はは。室井さんらしい。」 「ゆい先輩ってば。」 で解決してしまった。
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