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ドアの向こうからヨウちゃんがゆっくり入って来た。
…え?
…え。ちょっと。
「ヨ、ヨウちゃん!!ま、まだ着替え中だよ!?」
私は慌ててベッドのタオルケットを引き寄せた。
スリップは着ているけど、完全な下着姿。
…待ってって言ったのに!
タオルケットで体を隠しながらも、私はもうパニック寸前。
「…ヨ、ヨウちゃん。あっちで待ってて。ごめん、じ、時間かかりすぎた?…もう、もう、すぐだから。ね?お願い。すぐに着替えるから。」
ヨウちゃんは何も言わずに近づいてきた。
「ヨウちゃんっ!」
大きな声を出したのに、
それでもヨウちゃんは止まらずにもうそこまで…。
と、思ったら、私を通り過ぎて、
ゆらゆらと風に揺れるカーテンのところで止まった。
そして、カーテンの隙間に手を入れて、静かにサッシを閉めた。
…身震いした。
そのヨウちゃんの姿に、ついこの間の部長の姿が重なった。
"声が聞こえちゃマズイからな。"
そう言った部長の姿と。
サッシを閉めてゆっくりと振り返るヨウちゃんが…
…怖かった。
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