2333人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはようございます。」
「おはよう。」
私と部長は会社の事務所で挨拶を交わしていた。
二人とも緩む顔を抑えられなくて、声を出して笑った。
しばらくして、池口さんが入って来ると、部長は背を向け、私は不自然にならないように口元を押さえながら挨拶した。
三連休が明けた週始め、今週はまた忙しくなる。
忙しい日中のデスクワーク。
それなのに、ときどき私の顔が緩んでしまうのは、
私の手に握られた部長からのプレゼントのせい。
使うのが惜しいほど綺麗で素敵なんだけど、使わなかったら意味ないもんね。
「室井君。」
部長に呼ばれて部長の席に向かう。
「これ、夕方までに頼めるか?」
「はい。」
部長の目から視線を下にずらすと、胸元のポケットに私とお揃いの黒いペンが刺さっていた。
…あ、顔が熱い…。
自分の顔色に心配になりながら席に戻った。
私と入れ違いに琴ちゃんが部長の席に行き、書類にサインをお願いしている。
池口さんも私の顔には気付いていないみたい。
ホッと胸を撫で下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!