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この週、何の変わりもなく、
ただ、月曜が休みだったことで残業時間だけは増えていた。
水曜日になって、琴ちゃんが私のボールペンが目についたようだった。
「ゆい先輩、そのペン素敵ですね!?見せてもらっていいですか?」
私が琴ちゃんに手渡すと、琴ちゃんはじっくりそれを眺めた。
「…S?」
琴ちゃんがつぶやきながら、一瞬目があった。
「…イニシャルもの、流行ってるでしょ?わ、私、Sが好きなの。」
…上手く誤魔化せた?
「そ、そうですか。すごく素敵なペンですね。」
「うん。すごく気に入ってるの。」
私は琴ちゃんの様子が少し変だったなんて全く気が付かなかった。
受け取ったボールペンを無意識のうちに笑顔で見つめていたから。
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