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「…そういうことだったんですね。」
経理室に戻るまでに部長に言った。
「ああ。森田がどうしてもゆいを貸してくれってさ。まずはゆいの美貌で相手の心を掴むんだってさ。アイツが言うにはそれが秘策らしい。」
ぶ、部長…!!
また、名前で呼んでるし!
「…そんな秘策で大丈夫でしょうか?」
「どうかな。でも、そうまでしてでも今回は決めたい商談だ。室井君はいつも通りにしてくれればいい。あいつらの力になってやってくれ。」
「はい。私でお力になれるなら。」
事務所が近づくと部長は私のことをいつも通りに"室井君"と呼んでいた。
突然の話に驚いたけど、少しでも成瀬さんたちの力になれるのなら嬉しいし、何より、会社のためにも出来る限りのことはしようと思えていた。
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