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ヨウちゃんからの呼びかけに、すぐには応えられなかった。
…どうして?
その思いだけが強かった。
困惑しながらも、ゆっくりと階段を上がった。
ヨウちゃんの前に来て、なんとか声を掛けた。
「…ヨウちゃん、どうして…?今日は何だろ…?木曜だし、普通の日だよね?」
「ん。そうなんだけど。それより、ゆい、毎日こんなに遅いの?こんな時間に一人で帰ってきたら危ないじゃん。」
「…あ、うん。結構忙しいから。でも大丈夫だよ。駅から近いし、道もずっと明るいから。」
「ゆいのこと待ってたら、喉乾いたし、トイレも行きたい。」
「…待ってたって、いつから居たの?」
「7時くらい。」
「…え?…嘘!?もう二時間以上たってるよ!?なんで、急に来たりするの?連絡くれたらいいのに。」
私はそう言いながら慌てて鍵を開けた。
ヨウちゃんを家に上げる抵抗感より、
ヨウちゃんを待たせてしまった罪悪感の方が勝っていた。
ヨウちゃんがお手洗いに行っている間に、冷蔵庫から麦茶を出してグラスに注ぎ、エアコンのスイッチを入れた。
トイレを済ませたヨウちゃんは麦茶を勢いよく飲んで、おかわりをした。
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