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もう、美咲ってば!!
と思う私の心とは裏腹に、
部長は笑顔を浮かべて満足気。
「藤森も気が利いたものをくれるじゃないか。早速試してみよう。」
そう言いながら部長はしっかりマッチまで持ってもう立ち上がってるし。
「ゆい。早くしろ。」
部長は私の手を引き、寝室のドアを開けた。
ベッドのサイドテーブルにあるスタンドの明りを付けてから、ろうそくに火を灯す。
それからスタンドの電気を消すと、室内が一層暗くなった。
マッチの燃える匂いが少し残って鼻をくすぐる。
キャンドルグラスを手に持ちながら、ベッドに座って部長とそれを見つめる。
ゆらゆらと揺れる炎が綺麗だった。
急に部長が一度立ち上がって、私に笑顔を向けながらサッシを閉める。
「声が聞こえちゃマズイからな。」
その顔にまた心臓が跳ねてしまう。
体を重ねることはもう幾度となくしているのに、どうしてこう毎回ドキドキしてしまうんだろう。
まるで、毎回が初めてみたいに。
そんなことを思ってる間にも、部長は私のすぐ隣。
私からキャンドルグラスを取り上げて、サイドテーブルに静かに置いた。
「キャンドルの効果を見せてくれ。」
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