守りたいもの

10/39
前へ
/39ページ
次へ
しばらくして、一度ゆいにシャワーを浴びさせてから、一緒に俺の家へ向かった。 もう時刻は遅かったが、連れて帰ることにした。 ゆいもそれを望んでいる気がした。 車を運転している最中も、ゆいは俺の手を欲しがって、俺は慣れない左手で運転をした。 いつもなら、ただ顔を緩めていただろうその仕草も、 今日はただただ、俺の心を痛いほど切なく締め付けていた。 家に着くと、ゆいを先にベッドに寝かしてから、シャワーを浴びて寝る支度をした。 ベッドに入る頃にはとっくに日付が変わっていたが、ゆいは寝ないで俺を待っていた。 隣に横たわる俺に体を寄せて、俺の胸に顔を埋めた。 俺以外の男のために流す涙を 今日は嫌だと思わなかった。 今日はアイツのために泣いたとしても、 明日からは俺のために笑って欲しい。 しばらく俺の胸はゆいの涙で濡れていたが、 俺のTシャツを握りしめたまま、ゆいは眠りに落ちていった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2300人が本棚に入れています
本棚に追加