守りたいもの

14/39
前へ
/39ページ
次へ
「ゆい先輩!?どうしたんですか!?その目っ!?」 「室井さん、何かあったの?」 事務所で顔を合わせた時の、琴ちゃんと池口さんの第一声。 …やっぱし、ね。 「…読んでる小説に感情移入し過ぎて…。目立つ…かな?」 「はい。」 「うん。」 ガーン。 今日はお客さんの予定がないから、急なお客さんもどうか、このままいませんように。 お昼休みには美咲に会った。 「あんた、会社中で噂だよ。あの室井さんが泣き腫らしてるって。」 「…何それ。…私が泣いたら噂になるの?」 「なるわね。確実に。ま、またゆっくり聞かせて、もし話せるなら。原因は部長って訳じゃないでしょ?…部長が原因だったら、そんな顔して会社来てないもんね。」 「…美咲って、…私のこと、何でもわかるの?読心術とか使えるの?」 「はあ?…けど…わかるわ。…なんてね。ゆいがわかりやすいだけ。」 「そ、そうなの?私、わかりやすいの?」 「うん。もしかして、自分で気付いてないの?」 私の金曜日はどうやら会社中に噂されて、終わったみたいだった。 …金曜日で良かった。 そして、金曜日はみんな少し浮かれた気分で会社を後にする。 私も例外ではなく、部長と過ごす週末に心が躍ってしまう。 その夜。 朝の約束通り、部長にいっぱい抱きしめてもらったのは言うまでもない。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2299人が本棚に入れています
本棚に追加