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「ゆい先輩!?どうしたんですか!?その目っ!?」
「室井さん、何かあったの?」
事務所で顔を合わせた時の、琴ちゃんと池口さんの第一声。
…やっぱし、ね。
「…読んでる小説に感情移入し過ぎて…。目立つ…かな?」
「はい。」
「うん。」
ガーン。
今日はお客さんの予定がないから、急なお客さんもどうか、このままいませんように。
お昼休みには美咲に会った。
「あんた、会社中で噂だよ。あの室井さんが泣き腫らしてるって。」
「…何それ。…私が泣いたら噂になるの?」
「なるわね。確実に。ま、またゆっくり聞かせて、もし話せるなら。原因は部長って訳じゃないでしょ?…部長が原因だったら、そんな顔して会社来てないもんね。」
「…美咲って、…私のこと、何でもわかるの?読心術とか使えるの?」
「はあ?…けど…わかるわ。…なんてね。ゆいがわかりやすいだけ。」
「そ、そうなの?私、わかりやすいの?」
「うん。もしかして、自分で気付いてないの?」
私の金曜日はどうやら会社中に噂されて、終わったみたいだった。
…金曜日で良かった。
そして、金曜日はみんな少し浮かれた気分で会社を後にする。
私も例外ではなく、部長と過ごす週末に心が躍ってしまう。
その夜。
朝の約束通り、部長にいっぱい抱きしめてもらったのは言うまでもない。
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