守りたいもの

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成瀬さんと部長の話がひと段落した頃、 私と美咲の話題には、来週の夏祭りのことがあがっていた。 8月の第二土曜に毎年行われる、大きなお祭り。 何と言っても、迫力のある花火が見物(ミモノ) 「今年は浴衣、着てみたいな…。」 思わず口に出たその言葉に、部長が反応した。 「ゆいが浴衣か…。いいな。見てみたい。」 「…でも、秀一さん、浴衣って着つけ、結構大変なんですよ。一人でやるなら着るだけで汗だくになっちゃう。」 「じゃ、俺が手伝う。」 「部長が手伝ったら、着せられないでしょ?…脱がせてばっかりで。」 そう言ったのはもちろん美咲。 「それも、そうだな。」 …部長…。 「……。ね、美咲は?美咲は着ない?」 「って、浴衣着て一緒に行く相手いないし。…でも、何年も着てないし、着てみたいかな。」 「ん、なら、二人で着つけし合おうよ!二人で着て、4人で花火行こ。」 「そうしよう。楽しそうじゃないか。」 私に笑顔を向ける部長とは対照的に、成瀬さんと美咲が二人揃って 「え?」 「あ?」 と、驚いていた。 そんな二人に私と部長で念押し。 「ね、いいでしょ?」 「な、いいだろ?」 「はい。はい。」 「ま、いっか。」 二人は顔を見合わせてそんな返事をくれた。 4人での夏祭り。 今から楽しみになっちゃうよ。
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