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…ヨウ…ちゃん。
声が出なかった。
足もすくんで動かない。
胸元にあてがったタオルケットをさらに上の方へとギュッと握り直した。
サッシを閉めたことで、部屋の中がムッとして熱気が籠る。
汗が滲むほど暑いのに、
体は震えた。
「…ヨウ…ちゃん。…どうしたの……?」
カラカラに乾いた喉からやっとで声を絞り出した。
逃げ場なんてないのに、ヨウちゃんから離れようとするのは、きっと本能。
ヨウちゃんの視線に縛られたまま、ゆっくりと一歩後ずさる。
「……ゆい。逃げないで。」
ヨウちゃんが私に大股で歩み寄る。
私は反射的にヨウちゃんから逃げるように背を向けた。
足元にたるむタオルケットが邪魔をして、つまずきそうになるところをヨウちゃんが後ろから手を伸ばして抱き締めた。
その後ろからの衝撃と体勢を崩しかけたせいで、タオルケットが手から離れ、はらりと床に落ちた。
下着姿の私にはヨウちゃんの体温が直接触れた。
「……ゆい…。」
私を呼びながら、ヨウちゃんの腕に力がこもる。
「…ヨウ…ちゃん、…何で…こんなこと…するの…?」
そんな問いに意味があるのか、わからなかった。
けれど…
ヨウちゃんは答えてくれた。
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