守りたいもの

35/39
前へ
/39ページ
次へ
俺はこの日は早く上がろうと思っていた。 メチャクチャ気分が良かったし、美味いもんでも食って、酒も飲みたかった。 部長と室井、 そして、 藤森を誘おうと思っていた。 俺から誘うのは初めてだった。 そんなことが出来てしまうのは、プレゼンが成功した後の高揚感がなせる技に他ならなかった。 定時になって、西島部長にプレゼンの報告がてら誘おうと経理室を訪ねた。 経理室には部長しかいなかった。 「ご苦労だったな。無事に終わって何よりだ。詳しく話も聞きたいが、支払い関係が近くてな、悪いが今日は残業だ。ゆいにも残ってもらわなきゃならない。」 「…そうすか。終わってからでも、来てくれていいですけど。」 「…藤森も誘うんだろ?」 「え。あ、まあ。」 俺の返事に部長は口角をゆっくり上げて笑った。 「今日はゆいを連れ帰って、ゆいを抱きたい。俺とゆいは別の日にお前の慰労会をしてやる。」 「…な…!?」 このおっさん、よくこんなこと平気で言えるな。 言い方は違うが、森田部長と変わんねえ。 エロ部長に変わりない。 「…冗談だ。たまには二人でもいいんじゃないか?…今日なら誘いやすいだろ。」 …冗談にはとても聞こえなかったが、 …全部、お見通しってことか。 「じゃ、また、今度。」 「ああ、楽しんで来い。」 た、楽しんで!? 「…はい。」 俺は何を素直に返事をしてるんだか。 俺は悔し紛れにこう言って事務所を出た。 「…そちらも楽しんで下さいよ。」 「ああ。そうするつもりだ。」 よ、余裕かよっ!? このエロ部長がっ!!
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2299人が本棚に入れています
本棚に追加