夏祭り

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木曜、金曜はあっという間に過ぎていった。 社内でも夏祭りや花火の話題もちらほら聞こえ、私の気分はすっかり夏祭りに向かっていた。 金曜の夕方は部長が接待だったこともあって、私は通常通りに残業を終えてそれぞれに帰宅した。 土曜。 部長と成瀬さんとの待ち合わせは夜だけど、美咲は午前中から家に来ることになっていた。 11時頃、美咲が大荷物でやって来た。荷物の中身は浴衣だった。 「アツー!!なんて暑さなの!?ゆいー何か冷たいものちょうだい。」 「はい。はい。ホントに暑いねー。」 「うん。溶けるわ。」 美咲が麦茶をゴクゴクと一気に飲んだ。 お昼は私が簡単に作る予定。 「美咲。成瀬さんと二人で楽しかった?」 「な、いきなり何!?」 「んふふ。」 「な、ゆいが変!!何その笑い!?」 「ううん。なんでもない。聞いてみただけ。…で?」 「…ゆい。怖い。それ、ゆいのキャラじゃないでしょ。」 「そう?…いつもと立場が違うだけ。私、いつも聞いてもらってばかりだもん。」 「あ、そ。でも、特に話すことないんだけど。」 そう言いながらも美咲の顔はどこか嬉しそうで。 何でもないと言いながら、自然に口角が上がっちゃってる。 私はそういう表情がどんな時にそうなるか知っている。 「ん。わかった。よかったね、楽しめて。」 「何でそうなるのよ!?何にも言ってないんだけど!!」 美咲ってば、珍しく顔、赤いし。 私、美咲に鍛えられてるんだからね。
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