2106人が本棚に入れています
本棚に追加
木曜、金曜はあっという間に過ぎていった。
社内でも夏祭りや花火の話題もちらほら聞こえ、私の気分はすっかり夏祭りに向かっていた。
金曜の夕方は部長が接待だったこともあって、私は通常通りに残業を終えてそれぞれに帰宅した。
土曜。
部長と成瀬さんとの待ち合わせは夜だけど、美咲は午前中から家に来ることになっていた。
11時頃、美咲が大荷物でやって来た。荷物の中身は浴衣だった。
「アツー!!なんて暑さなの!?ゆいー何か冷たいものちょうだい。」
「はい。はい。ホントに暑いねー。」
「うん。溶けるわ。」
美咲が麦茶をゴクゴクと一気に飲んだ。
お昼は私が簡単に作る予定。
「美咲。成瀬さんと二人で楽しかった?」
「な、いきなり何!?」
「んふふ。」
「な、ゆいが変!!何その笑い!?」
「ううん。なんでもない。聞いてみただけ。…で?」
「…ゆい。怖い。それ、ゆいのキャラじゃないでしょ。」
「そう?…いつもと立場が違うだけ。私、いつも聞いてもらってばかりだもん。」
「あ、そ。でも、特に話すことないんだけど。」
そう言いながらも美咲の顔はどこか嬉しそうで。
何でもないと言いながら、自然に口角が上がっちゃってる。
私はそういう表情がどんな時にそうなるか知っている。
「ん。わかった。よかったね、楽しめて。」
「何でそうなるのよ!?何にも言ってないんだけど!!」
美咲ってば、珍しく顔、赤いし。
私、美咲に鍛えられてるんだからね。
最初のコメントを投稿しよう!