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時間より少し早く、待ち合わせの場所に到着してやっとお互いの姿をゆっくり見れた気がした。
「美咲の浴衣、可愛い!私、そういうの好き。」
「ゆいもすごく似合ってる!籠バッグもいい感じじゃん!」
「美咲の巾着もいい感じ。」
「髪型もバッチリだし、部長、きっと喜ぶね。」
「…だといいけど。髪の毛、ありがとね。気に入った。成瀬さんも美咲にきっと驚くね。」
「…そうかな?」
美咲は紺地に白一色で描かれた紫陽花模様に深い赤の帯を巻いている。
シンプルだけど、顔立ちがはっきりしている美咲にはぴったりで可愛い。
私は薄紫の地に紫の濃淡で描かれた菖蒲(アヤメ)の柄。帯も浴衣より少し濃い紫色で、全体が紫の濃淡な感じ。
髪の毛は美咲が緩いアップにまとめてくれて、浴衣に似合う髪飾りを着けた。
周りには浴衣を着た若い女の子たちがたくさんいた。
若い子たちの浴衣は自分たちよりずっと華やかだった。
部長たち…ちゃんと私たちを見つけられるかな。
そんな心配をしていると、男の人に声を掛けられた。
「ね、一緒に花火見よ。」
明らかに私たちより年下の二人組だった。
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