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時間も時間で、迷惑だと知りながら、俺は成瀬に電話を掛けた。
成瀬なら、もしかしてアイツの家を知っているかもしれないと思ったからだ。
寝ている場合も考えて、呼び出しが長引かないうちに切ろうと思っていると、3度目に成瀬が出た。
『…もしもし?部長?…こんな時間にどうしたんすか?』
寝ていたのかぼんやりとした声だった。
「すまない。起こしたか?…悪い。すまないが、お前、越石の家を知ってるか?」
『…越石?…アイツがどうかしたんすか?』
成瀬の声がはっきりとしてくる。
「…ゆいがアイツの家にいる。」
『はああーー!?何で!?何でそんなことになってるんすか!?』
「…とにかく、知ってたら教えて欲しい。」
『住所はわかんないですけど、行けばわかりますよ。入社後の歓迎会で酔い潰れたアイツを送ってったし。…部長の家からそんなに離れてないと思います…けど。』
「なら、案内してくれ。今から迎えに行く。お前の家は…」
『俺が行きますよ。その方が早い。すぐ行きます。』
成瀬はそう言って電話を慌てて切った。
こんな夜中に、俺のために来てくれる。
今となっては、
俺にとって成瀬は
ある意味、
なくてはならない存在になっていた。
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