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「…え?…あ、…あの、え…。」
何かを言いたいのに、言葉に出来ない彼女。
その時、
彼女が慌てたせいで、ベッドから落ちそうになる。
「危ないっ!」
そう言った時にはもう遅く、二人でベッドから落ちて、ベッドの脇でまた俺が彼女に覆い被さる。
「…私……どう…して…?」
涙が溢れて彼女のこめかみから耳に伝う。
俺は彼女にこんな顔をさせたいわけじゃないんだ。
…これじゃ、アイツと一緒だろ?
それなのに、
俺は彼女を繋ぎ止めたかった。
それが、どんなに卑怯な手だとしても。
「…覚えてないんですか?」
俺は彼女が不安になるように、意味ありげな表情をつくって見せる。
「……私…。」
彼女の声は震え、パニックに陥いる寸前……いや、既に陥っていた。
「…俺と会って、戻した後、倒れちゃったんで連れてきました。…服が汚れたんで、着替えさせようと思ったら……室井さんが…俺を求めてきて…。」
言い終わる前に彼女の顔はさっきよりもさらに蒼白になり、その表情はひきつっていた。
隠しきれない胸元を隠そうと、胸元に当てられた手は震えていた。
なのに、
そんな彼女を見ながら俺は黙らなかった。
「…俺たち……しましたよ…。」
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