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…え?
…何て言った?
考えようとするのに、思考は停止。
ヤバい。
涙腺が弱まってる。
その時、
キッチンでの会話が耳に入る。
「ゆい、今のうちに風呂を洗っておこう。」
「…あ、はい。洗濯の乾燥ももう出来てるはずです。」
二人はお風呂場に行ってしまった。
同時に、涙が溢れる。
「…悪い。こんな…ムードも何もなくて、こんな時に。…でも、何かの力を借りなきゃ、素直になれないのって、お前ならわかるだろ?あの二人を見てたら…今しかないって思ったんだ。」
…わかるよ。
…わかる。
何かの力を借りなきゃ素直になれない。
だけど、
今、素直にならなかったら
絶対、後悔する。
「…わかるよ。私だって…そうだもん。」
…変なの。
…涙が止まんない。
「…見えるわよ。…絶対。あの二人と同じもの。
…私にも…見せてよ…。」
成瀬さんは笑った。
「ホントに涙もろい奴だなあ。泣くなよ。…お前の泣いた顔もいいけど、…笑った顔の方が…もっといい。」
成瀬さんが私の涙を拭いた。
「…絶対…見せてやるから。」
成瀬さんが
私に
キスをくれた。
私が引いた
ハートのエースの本当の意味。
いつも強がる
私の唇が
小さく震えていた。
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