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お風呂場で部長と二人。
…お風呂はさっき洗ったんだけど、部長の言葉に合わせるしかなかった。
キッチンから見た美咲と成瀬さんは…
いつもとは少し違って見えた。
成瀬さんの目がとても切なく思えた。
美咲は…
もっと切ない目をしていた。
美咲の気持ちは痛いほどわかっていたつもりだった。
さっき見た美咲の眼差しを想うと、自分のことのように緊張して、声を意識的に潜めようとしなくても言葉が出なかった。
バスタブの淵に座った部長がその横に立った私の手を握る。
私はその手を握り返して、涙と唾を同時に飲み込んだ。
部長が立ち上がってシャワーの水を出し、そのままシャワーをバスタブの淵にだらりと掛けた。
シャワーの音だけが響く静かな浴室で部長は私を黙って抱き締めてくれた。
…美咲の想いが通じますように…。
しばらくして、部長が私の耳元で静かに言った。
「…そろそろ、行くか。」
「…はい。」
部長が水を止めて、シャワーをフックに戻そうとした時、
部長とくっつきすぎていたせいで、振り向いた部長とぶつかり、体勢が崩れる。
そして、よろけた私はシャワーのボタンに体が触れてしまった。
そして、シャワーから勢いよく水が流れ出す。
そう。
私たちの頭上から。
「キャ、キャー!!」
「うわっ!」
「キャー!冷たい!!」
「冷たっ!」
二人とも
服のまま
…びしょ濡れ。
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