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成瀬の件はともかく、
話が上手い具合に転がった。
話しの流れから冗談に聞こえたかもしれないが、俺は冗談のつもりは一切ない。
ゆいを安心させたいというよりも、
俺の心配をなくしたいという方が正しいか。
ゆいは今のアパートで、何の危機感も抱いていないだろう。
まあ、それが普通だ。
あのアパートに若い男がいると思うだけで俺はゆいを心配しなければならない。
小さい男と言われればそれまでだが
…今までの経験上、どうしようもない。
…そういえば、下の階の学生は?
俺はこれを機会に何気なくゆいに聞いてみた。
「…ゆい。下の階に学生がいただろ?アイツとは…よく顔を合わせるのか?」
「…え?うーん。よくじゃないですけど、週に2、3度くらいかな?」
「2、3度も!?」
「…はい。でも、挨拶する程度ですよ。結構気さくな子みたいです。」
…気さくな子?
気さく?
俺が挨拶した時には完全に無視されたが。
子?
…子供と思ってるのはゆいだけだぞ。
聞かなきゃ良かったのか、
俺の中にまた心配事が出来てしまった。
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