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部長の体調はすっかり良くなって、翌日は普通に出社した。
この日は私はいつも通り電車に乗って。
「これからは一緒に出社してくれるんじゃないのか?」
部長はそう言ったけど、昨日部長の車で出社したのは、部長が心配だったのと、隠すのはもうやめようという決意から。
でも、会社のみんなに知れた今では、会社の中での上司と部下の関係はこれまで以上に崩してはいけない気がした。
会社を離れる帰りはともかく、出社はよほどの理由がない限り、自分の気持ちを切り替えるためにも別々に出社しようと思った。
私が説明すると
「…じゃあ、何か理由を作ればいいんだな?」
なんて、子供染みたことも言ってたけど、部長は優しく笑って
「ゆいがそう言うなら。」
ちゃんと納得もしてくれた。
駅まで送ってもらって、一人電車に揺られている間にいろいろと思いを馳せる。
…最近、部長の家に泊まること多いな…。
…あ、化粧水、減ってきてたな…。
…今日の予定は……。
この時間が好きなのに、考え事をしてるとあっという間に過ぎてしまう。
会社に着くと、部長の方が先に着いていた。
「おはようございます。」
「おはよう。」
私たちは上司と部下になって、今日、二度目の挨拶を交わした。
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