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部長が帰ってきて、ゆいの表情が一段と明るくなる。
…ホントに、ゆいってわかりやすい。
部長が着替えをしてきて、一緒にソファでお茶を飲む。
「…ゆい、さっき成瀬さんを部長と間違えて『おかえりなさい』って言ってましたよ。」
「そうなのか?」
「…すみません。」
「抱きついたりしてないだろうな?」
「し、してないですよ!」
「…ならいいが。」
「ブハッ。」
「ぎゃはっ。」
成瀬さんと私は二人で笑った。
しばらくして、夕飯の準備に取り掛かろうとゆいと一緒に席を立つと、部長が私を止めた。
「今日は、俺とゆいでやるから。藤森は成瀬とこっちにいろ。」
「えぇ!?…そんな、部長にやらしてこっちでなんて…。」
「今は会社じゃない。気にするな。ゆいとしたいんだ。」
「…はあ。そうですか。こっちでいったい何してましょう?」
「テレビもいいし、先に飲んでてもいい。…あ、トランプならあるぞ。」
そう言って部長は一度部屋に入って、本当にトランプを持って来た。
それはある有名ブランドのロゴが入った明らかに高そうなトランプだった。
「なぜ…トランプが?」
「友人の結婚式の二次会での景品。」
「…なるほど。」
「飲み物は適当に取りに来い。」
部長はそう言って、ゆいのいるキッチンに嬉しそうに入って行った。
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