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どれくらいそうしていたのかわからないが、目を開けるとゆいが優しく笑んで待っていた。
先週、ゆいがそうしてくれたように、
俺はゆいを親父とお袋に紹介した。
そして、ゆいの家族に約束したことを、今日ここで再び約束する。
『ゆいとゆいの帰る場所は俺が必ず守る。』
これは、約束であると同時に
俺の決意。
生涯を掛けてこの約束を守り抜く。
だから、ゆい。
お前の帰る場所は
いつも俺のいる場所であって欲しい。
照りつける強い日射しとは逆に、ゆいの表情は優しく柔らかかった。
そして、思わず俺は本音を漏らす。
「親父たち…俺がここに来るのも驚いてるだろうけど、ゆいが一緒だから、もっと驚いてるだろうな。…生きてりゃ、そんな顔も見られただろうけど…仕方ないな。」
俺の言葉にゆいはその優しい目に涙を溜めた。
そして、俺の手を握る。
「…これからは…私が一緒にいますから。」
俺はこの日、
両親が亡くなって
初めて
それを…寂しいと思ったのかもしれない。
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